新技術開発助成

第113回新技術開発-09

印刷最適化制御を完全自動化したオフセット輪転印刷機の開発

技 術 開 発
契 約 者
宮腰精機株式会社
代表取締役 宮腰 亨
所 在 地
秋田県大仙市
技   術
所 有 者
株式会社ミヤコシ、蓑島俊和
技   術
開 発 者
宮腰精機株式会社
取締役工場長 藤原 鈴司

技術開発内容

 オフセット輪転印刷機の操作は非常にアナログで、“匠の技”を持つ熟練工の減少により、損紙、印刷不良などの増加が印刷会社の経営に大きく影響している。国内の印刷会社における損紙率は10〜20%と言われ、中堅企業では損失額が年間1億円程度に上るケースもある。加えて近年では、持続可能社会へ向けた地球温暖化対策としての廃棄資材削減も求められている。
 一般に印刷工程では、印刷中にサンプリングした印刷物の汚れや網点パターン、濃度などを作業者が観察・判断して、インキ供給量や湿し水供給量の調整を手動で行っている。本技術開発では、稼働中の版胴面上の輝度変化およびインキローラ上の濃度変化の状態を、光検出センサのRBGLデータからリアルタイムで検知し、産業用エッジPC上のAI解析機能によりインキの乳化状態と濃度を即座に判定・自動調整する制御システムを開発する。印刷機の状態を事前予測し、常に安定した印刷品質を維持することで、損紙率を半減する完全自動オペレーションを目指す。
 試作機で損紙削減への有効性、操作性、メンテナンス性などを検証し、世界初のAI解析機能搭載の完全自動化アナログオフセット輪転印刷機の商品化に取り組む。本システムは、既存の印刷機へ導入も可能であり、オプション機能として自社・他社を含めた幅広い展開が期待される。グローバル市場で高い競争力を持つ商品構成として、その優位性は非常に大きい。

図