従来から光硬化樹脂は高精度な3Dプリンターである光造形法の素材として多用されている。しかし一般樹脂に比べ強度と剛性(ヤング率)が低い問題点があった。光硬化性樹脂の機械的強度改善のためには、シリカ微粒子やセルロースナノファイバー繊維を添加することが提案されているが、弾性率で10〜30%程度改善するにとどまっている。
さらに生体適合性についても、市販光硬化樹脂では、造形物に接触した皮膚が炎症しない程度の「低い生体適合性」でしかなく、安全な生化学実験や医療系機器への応用は難しかった。本開発では、エポキシ系光硬化性樹脂に可食性の粒子径の小さいナノスケールのパラミロン粒子を微量添加した光硬化樹脂を開発した。この光硬化樹脂を3Dプリンターを用いて造形し、高温熱処理することで、「高い強度」、「高い生体適合性」を併せ持つ部品を提供することができる。
粒子径の小さいナノスケールのパラミロン粒子を微量添加した光硬化樹脂を使用したことにより、機械的強度が高く生体適合性のある光造形法では今まででは提供できなかった微細な部品を3Dプリンターにより製造することができ、マイクロ流路デバイス、医療ツールなど多品種少量のニーズに対応することが期待される。
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