LED(発光ダイオード)とPD(フォトダイオード)内蔵受光ICを用いた光電センサは工場の生産設備での遮断検出や距離差検出などに用いられている。近年照明は蛍光灯からLEDに置き換わってきており、対外来光(数百KHz〜1MHzのLED照明)強化が求められている。光エネルギーを電気に変えるPDは従来、面状にpn接合が形成されており高速化のためには寄生容量を下げる必要がある。通常半絶縁であるi層を挟んだpin接合としたり、受光(接合)面積を小さくして寄生容量を下げて対応する。しかしながら受光面積を小さくするとS/Nが低下し光電センサとして用いることができなくなる課題があった。更に光電センサに必須だがコストアップに繋がる電磁シールドは受光ICの外部に設けられている。本開発では電磁シールドを内蔵した上で、受信周波数:4MHz、かつ、光信号検出限界:0.1µW以下と高速・高感度を両立する受光ICを目指す。
本開発会社は設計・評価を行う研究開発型ファブレスメーカーであり試作は外部で行う。開発するPDは面接合ではなく線状接合とする。p型Si基板上にi層を設けその表面に線状のn+層を設ける。更に絶縁膜を介してn+層の上部にのみシールドメタルを設けグランドに落とす。電磁シールドを内蔵するとその分の寄生容量が発生するが、PDのみを試作した結果では、シールド内蔵でも従来構造のシールドなしPDよりも低容量でかつ高S/Nとなる結果が得られている。本開発では最適化を図るとともに光電センサTEGまで試作し性能を評価する。
微量調光を可能とするための高速(1MHz)なLED照明下でも使用でき、高速・高感度の光電センサが求められているファイバーセンサ用途での長距離検出など、ニーズはあるがこれまで使えなかった用途でも使えるようになる。また、コストダウンも図れる。更に、受光系を大きくできるので光ファイバーを用いた光データ伝送に応用するとファイバーとの結合の調心フリー化や、従来よりも低信号光量での伝送が可能となる。
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