新技術開発助成

第114回新技術開発-13

室温から極低温までの高精度広帯域雑音計測プローブシステム

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 デバイスラボ
代表取締役 大毛利 健治
所 在 地
茨城県つくば市
技   術
所 有 者
国立大学法人筑波大学
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 実用的な量子コンピュータでは百万以上の量子ビットが必要とされている。量子状態を保持する素子(量子ビット)には、超伝導・半導体スピン・光・イオントラップ・冷却原子など幾つもの候補があるが、量子ビットに超伝導回路や半導体スピンを用いる場合、冷却槽内の量子ビットから少し離れた温度4K(-270℃)のステージに、超低雑音のRF-CMOS ICなどで構成された制御装置を配置して、量子ビットを制御することが想定されている。
 本開発技術は、そのようなICの開発に欠かせないMOSFET(電界効果トランジスタ)などの広帯域雑音評価を極低温まで行えるよう、極低温プローブステーションに組み込んで室温から温度3Kまで広い温度環境でウェーハ上の素子の評価を行える雑音計測プローブを実用化するものである。特にMOSFETのノイズ特性の広帯域評価を目指しており、現在の帯域(10kHz?500MHz)を拡張して1/f雑音から白色雑音までをより連続的に計測できるよう、プローブ針先の至近にLNA(低雑音アンプ)を配置する。そして、LNAの冷却などを制御・考慮した上で、測定対象MOSFETからの雑音を抽出するために高周波理論と実測に基づいてキャリブレートする。
 本雑音計測プローブの実用化により、極低温下でのMOSFETなどのデバイスの振る舞いを表す正確なデバイスモデルを効率よく作成できるようになり、回路シミュレーションを活用して高性能なICを開発できるようになる。そして、大規模量子ビットのための極低温下で動作する制御装置を実現できるようになり、その結果、量子コンピュータの実用化に大きく貢献すると期待される。

図

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