半導体デバイスの高密度化・高精度化や、水素を利用した産業では、99.9999%以上の高純度な水素が不可欠とされており、今後さらに厳しい品質要求が予想されます。本提案では、このような背景を踏まえ、高純度水素の製造装置の開発をテーマとしている。
高純度水素製造にはさまざまな手法があるが、半導体産業で求められるレベルの超高純度水素を生成する方法は非常に限られている。現在、主にパラジウム金属薄膜を利用して、水素のみを透過させる性質を活用した手法が採用されている。しかし、この方法ではパラジウムが非常に高価であり、さらに日本国内での埋蔵量がほとんどないことが課題とされている。本課題では、バナジウム合金が優れた水素透過特性を持ち、さらに高寿命であることを発見した点を活用し、この素材を用いた超高純度水素製造装置の開発を目指すす。バナジウムは埋蔵量が多く、日本国内でも確保可能なため、低コスト化が期待できるという点で競争力がある。
超高純度水素製造装置は、半導体製造プロセスにおいて極めて重要であり、その実用化は日本の国際競争力向上に大きく貢献すると考えられる。また、この技術は、近年注目されている水素社会の中で、水素を利用した発電用燃料電池の高寿命化にも大きな役割を果たすことが期待されている。
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