2023年時点で、農業従事者の平均年齢は68.7歳と高齢化が進んでいる。離農した農家の農地集約により、1軒当たりの農地面積は増加傾向にあり、生産性向上と人材不足解消が大きな課題である。大規模農地では大型機械の導入が進んでいるが、小規模農地では機械化が難しく、特に畝間の除草作業の機械化は進んでいない。
畑での除草は作物の生育や病害虫対策に必須だが、人力主体の刈払機や管理機は労働負荷が高い。既存のラジコンロボットやトラクタは大規模農地では効果的だが、小規模農地や畝間の除草には適さない。本申請の自動除草ロボットは、機体の幅を最小20cmまで変形させることで狭い畝にも進入でき、進行方向を90度変更する機構により旋回動作が不要である。そしてARマーカーとカメラによる自己位置推定で「完全自動除草」を実現可能とする特徴を有する。多様な畝形状や除草対象への対応は、本体の調整機構×各種アタッチメントで対応する。
本自動除草ロボットの開発により、労働負荷とコストを大幅に削減し、幅広い圃場での適用が可能となる。自動走行による除草作業で人手と時間が不要となり、播種や収穫などの重要な作業に人手を回せるため、農業の生産性向上と人手不足の解消に繋がる。またエンジン主体の農機からバッテリーなどのクリーンエネルギーを主体とした農業生産への転換も期待でき、農作業の効率化に向けたスマート農業技術の普及への貢献にも繋がる。
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