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現在、半導体デバイスと基板との接合には主にはんだが使われている。しかし、今後大幅な需要拡大が見込まれるパワー半導体分野では、高電流化・高電圧化が市場トレンドになっており、接合時には現行材料より低温での接合が可能である一方、素子化後には高い耐熱性を有する材料が求められている。
illuminus 社は、金属塩水溶液に高強度パルスレーザーを照射することで、多種類の元素が完全に固溶した合金ナノ粒子を製造可能な独自技術「レーザー誘起還元法」を保有している。本プロセスは、室温・大気圧下で高効率かつ連続運転が可能であることに加えて、還元剤を必要としないことから、低コストで環境負荷が小さいという特徴を有する。本開発では、このユニークな技術を適用し、低融点と高耐熱性を両立する合金ナノ粒子の製造条件を確立することを目的とする。粒径を数ナノメートルまでナノサイズ化(図1)することで融点低下(図2)を実現するとともに、主成分元素であるスズに適切な高融点金属を固溶・合金化することで高耐熱化を図る。このような斬新な材料設計および開発戦略により、前述の課題解決に挑戦する。
本材料開発指針に基づき、接合温度を現在主流であるSn-Ag-Cu 系はんだ(SAC)に比較して数十度低下させて200 ℃以下とすることに加えて、接合後の耐熱性についても現行材料を上回る高温化が可能であると見込んでいる。さらに、環境適合性、コスト、量産性の面においても同等もしくは優位性を有する新規接合材料の開発が期待され、パワー半導体分野の発展に大きく貢献する技術開発となる。
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