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現在、年間で約57000名(国内)の高齢者が腰部脊柱管狭窄症などの脊椎変性疾患により脊椎手術を実施し、その約半数が、椎間板腔にケージが挿入され脊椎を不動化する治療(脊椎固定術)を受けている。従来のケージは固く、骨への沈降化リスクがあるため、挿入後、上下の脊椎を固定しなければならず、自由度が阻害され、将来的に隣接椎間に影響し骨の変形・骨折などが生じ、再手術が必要となるなどのリスクが課題であった。
本提案の弾性脊椎人工椎間板は、単なる剛性体であったケージとは異なり、クッション機能と、広い接触面積を有する機能を付加し、屈伸に合せた形状変化により椎間板腔の高さ変化に追従することで脊椎固定を不要とし、運動の自由度の確保と隣接椎間にかかる骨の変形・骨折のリスク低減ならびに再手術リスク軽減を目指している。また、本開発品でほどこされている脊椎終板と接触する面において、脊椎内への沈降化リスクの軽減を可能とする独自の構造は、緩急の多様な動きに対し、かかる負荷に対応可能としている。
本技術は、椎間板の機能を再構築するものと捉えることができる。従来のケージ(脊椎固定術)で課題と認識し、脊椎固定後の脊椎へのダメージ、体の動きの自由度を低下させることを排除すること、および、数100Nから約2000Nと幅のある脊椎への日常負荷に対応しなければならない椎間板の機能に対し、椎間板高の回復ではなく、動きに追従する機能を有することは、患者のQOLを格段に高めることとなると考える。
競合品は全て海外で開発されたものが多く、日本人の中高齢者に合った人工椎間板という観点でも、本技術が示す可能性のひとつであると期待する。
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