自動車エンジンの低環境負荷(燃費向上)を実現するためには、エンジンブロックの軽量化と共に熱効率の向上が重要であり、このためにシリンダーにおけるピストンの摺動面(ライナー)の耐摩耗性・耐熱性を向上するライナー部分の表面改質が求められている。
本技術は、耐摩耗性・耐熱性に優れた鉄系ライナーと軽量なアルミ合金製エンジンブロック・シリンダーの中間に、アルミ合金製フィラーパイプ層を設け、これを高速回転させることで摩擦発熱・塑性流動現象を利用して充填しながら成膜することにより、ライナーとシリンダーを直接接合させる世界に類例のない独創的な方法である(図1)。これにより、ライナー材とエンジンブロック母材との密着強度を格段に改善することができ、熱伝導性に優れ、かつ良質なライナー膜のエンジン製造を可能とした。さらに、処理時間が数十秒程度の短時間で済むことから製造コストの削減にも繋がる点で他の技術より優れている。
本技術の成果によって、新製法でのエンジン開発および商品化が可能になり、燃費の改善や二酸化炭素排気ガスの削減などに貢献できると共に、日本の産業構造中に重要な柱としての自動車産業を支え、国際競争力の点で優位に立てることから社会性・公益性は高い。
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