新技術開発助成

第86回新技術開発-02

希少金属を不要とする高耐食薄膜の堆積技術の実用化技術開発

技 術 開 発
契 約 者
東洋ステンレス研磨工業株式会社
代表取締役   門谷 誠
所 在 地
福岡県太宰府市
技   術
所 有 者
東洋ステンレス研磨工業株式会社、九州工業大学
技   術
開 発 者
東洋ステンレス研磨工業株式会社
取締役統括部長  門谷 豊

技術開発内容

 建築パネル・化学プラント・海洋関連部品、水回り製品等にモリブデン等のレアメタルを含んだ高耐食性ステンレス鋼が使用されているが、耐食性、耐熱性がまだ充分ではなく、又レアメタルの供給不安から製品価格が高騰する問題が発生しており、高耐食性ステンレス鋼を凌駕する新たな高耐食性金属材料の開発が待望されている。
 本開発は、レアメタルを含まない汎用ステンレス鋼に光沢のある研磨仕上げを施し、その表面に透明で極めて耐食性の高いSiCN薄膜を均一・大面積に成膜する技術を開発し、上記要望に応える新たな高温高耐食性金属材料を実用化することを目的とする。現在までに、原料ガスに非爆発性のHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を用いたHW-CVD法(ホットワイヤ化学気相成長法)を独自に開発し、1000×1000mm基板対応のSiCN成膜装置を試作した。本開発では、大面積薄膜の均一性確保、触媒体(Wワイヤ)の耐久性確保を中心課題に、排気構造・基板温度制御機構の改良、触媒体保持機構の改良を行い、成膜装置技術の実用化を図る。
 SiCN薄膜を成膜した汎用ステンレス鋼は、金属肌の質感、30〜50年の長寿命・高耐食性、高耐熱性、低コスト・リサイクル可能等の優れた特長を持った金属材料として、屋外建築物を始めとする産業用途は勿論のこと、文化・芸術等の幅広い分野における応用が想定される。また半導体デバイス分野で開発が先行したHW-CVD技術を一般の産業分野へ展開することにより、日本独自の新たな強いものづくり技術の創出が期待される。
図