ヒトの全遺伝子情報の解析、いわゆるゲノム解読の完了を受け、創薬、バイオプロセス研究、環境、健康食品といった様々な分野で機能発現の主体であるタンパク質解析の重要性が増して来ている。こうした背景の中でタンパク質機能を網羅的に解析していく手法はプロテイン・アレイをおいてほかはない。
本技術開発は、高密度プロテイン・アレイに関するものである。愛媛大学で開発された、生物や細胞に頼らずに試験管内で遺伝子からタンパク質を効率的に合成する技術を基にしており、独創性は極めて高い。ヒト遺伝子の8割に相当する2万種に及ぶタンパク質を、液相上に未変性の状態でアレイ化できる点が特徴であり、先行商品に対し高い優位性を有する。すでに384種のタンパク質を1枚に搭載したアレイの作製に成功しているが、今回はさらに4倍の密度(1536種)のタンパク質を1枚のアレイに搭載することを目指す。
本技術で開発される高密度プロテイン・アレイは、抗原.抗体反応、タンパク質.タンパク質相互作用解析、薬物標的タンパク質の同定、有機化合物が結合するタンパク質の解析、抗体医薬の交差性解析、血液中の自己抗体の解析などの用途に有用である。同プロテイン・アレイを用いることにより、近年注目される抗体医薬について、その副作用の可能性をあらかじめ試験することができる。また自己抗体の発現プロファイルから、癌などの疾病診断が可能となると期待される。
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