電気電子機器には様々な有用金属が使用されているが、日本国内で使用済となった電気電子機器の多くは海外に流出しており、また国内の使用済電気電子機器に使用されているレアメタルも十分回収されずに埋立て処分や海外へ流出する割合が大きい。そこで本新技術開発では、こうした使用済電気電子機器における有用金属、特にレアメタルを、簡便に効率良く、そして低劣化かつ低コストで分離・回収できる新しい装置を開発することで、レアメタルのリサイクルを推進し、こうした課題に対処することを狙う。
本新技術ではまず、バイオマス燃料による熱風発生装置(図1内装置A)からの熱風を炭化炉(同図内装置B-1、2、3:分棟方式)に導入し、使用済電気電子機器を炭化させる。その際、炉内に設けられたセラミックボールからの遠赤放射により、従来より低温かつ均一な加熱を行い、密閉構造により低酸素化することにより有用金属の酸化劣化を低減させるというコア技術を適用する。さらにこの過程で発生した熱分解ガスは、再度、熱風発生装置に還流され燃料として用いられることにより、極めて効率の良い炭化プロセスが実現できる。このプロセスにより炭化された電気電子機器は、ハンマーによりその金属部が容易に分解でき(同図内装置C)、分級回収装置(同図内装置D)により分離・回収される。
将来は各地域において、使用済電気電子機器の回収・運搬、分別・解体・選別を経て、本新技術開発により実現できる有用金属分離・回収装置の運用を通し、有用金属の精錬・リサイクルへと一気通貫につなぐ地産地消のしくみとして、社会への貢献が大いに期待される。
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