本実用化研究は、各種細胞や組織に遺伝子や蛋白質などの生体高分子を導入する際に、細胞に損傷を与えることなく、効率よく簡便に遺伝子を導入する装置の実用化を目的としている。
パール工業(株)と本技術開発の共同開発者である(株)ワイ'ズは、気体放電により発生した放電プラズマを、DNA溶液を含んだ細胞あるいは組織に照射することで遺伝子などを細胞内に導入する技術に関して、既に特許を保有している。今回、先端プラズマ技術を保有する愛媛大学と共同で、遺伝子や蛋白質などの生体高分子を細胞に障害を与えることなく高効率で導入する装置の開発・実用化を目指している。
具体的には、独自のマイクロキャピラリープラズマ発生システムと高周波高電圧電源を開発し、遺伝子導入に最適なプラズマの均一な照射を可能にする。また、プラズマ照射装置と細胞を載置したサンプル台をピエゾ効果素子を用いてそれぞれ精密XY駆動させることで微小プラズマを細胞に対して正確に照射できるようにする。
今回実用化を図る遺伝子導入装置により、細胞の70%以上の生存率と70%以上の遺伝子導入効率を同時に達成することができ、加えて、ウイルスベクター法のようなウイルスの病原性による危険を侵すことなく細胞への選定分子の導入が図られるので、再生医療、育種・品種改良、遺伝子治療、分子医学・創薬研究など、広範囲の分野における活用が期待される。
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