新技術開発助成

第90回新技術開発-03

複数切開創幅を持つメスをワンタッチで交換できる医療機器の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 ファインテック
代表取締役 本木 敏彦
所 在 地
福岡県柳川市
技   術
所 有 者
九州大学先端医療イノベーションセンター 大平  猛
株式会社 ファインテック 本木 敏彦
技   術
開 発 者
株式会社 ファインテック
研究開発部 部長 坂口 信介

技術開発内容

 外科手術において、開腹手術ではなく低侵襲な小切開創(創とは切開による傷のこと)の腹腔鏡手術は創が小さくてすむこと、術後の痛みが少ないことや、腸管運動の回復が早いために食事が早くとれること、入院期間が短く早く社会復帰できること等、世界規模で拡大している。現状は、多種の切開幅に対して1種類のメス(先端0.3mm、根元8mmで切れる長さの制御は困難)を使い回しており、切開幅が1mm違っただけでも痛覚神経裁断の本数が著しく違ってくること、数mmでも切れ味が悪いとケロイド化することから、寸法の異なる刃幅のメスを用いて正確に適切な幅で開創する切開機器が求められている。
 本技術は、手術開始時には、複数(規格寸法の刃幅:2mm, 3mm, 5mm, 10mm)の開創用メスを簡単に交換できるようにしたこと(図1)、手術中には、(1)ロックボタンを外し、(2)皮膚にメス本体の先端部を接触させてボタンでメス刃を発射し、(3)メス刃が飛び出ることにより、皮膚の一定深さまでメスを打ち込むようにしたものである(図2)。メス刃は手術毎に使い捨てる(ディスポーザル)が、本体は10回程度の手術に使い回す(リユース)ように設計されており、洗浄・殺菌して使用される。
 本技術の成果を用いたメスを使用することで、複数切開創幅のメス刃を簡単な操作で交換でき、皮膚に向けて発射するようにしたことから、術者の技量に関わらず、的確な規格寸法を開創して美容的にも完治期間を短くできるようになる。また、手術毎にメス刃のみをディスポーザル、本体をリユースすることで医療コストの削減、国民への医療費負担の低減に繋がる社会還元効果もある。


図

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