新技術開発助成

第90回新技術開発-04

プロテインフィンガープリント法に基づく生体計測システムの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 ハイペップ研究所
代表取締役 軒原 清史
所 在 地
京都市上京区
技   術
所 有 者
株式会社 ハイペップ研究所
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 疾病の診断は検査装置・試薬とも高価であり、病院における検査装置の充実は多額な投資と回収が不可避となっている。バイオチップはオンサイト・リアルタイムの簡便・迅速な検査を可能にするものとして考案・研究され、DNAチップは実用化され研究用に広く使用されているが、タンパク質検定のためのバイオチップは実用化に至っていない。ペプチド(アミノ酸50個以内連結)誘導体でタンパク質(アミノ酸50個以上連結)を模倣できることが知られており、ペプチド誘導体を蛍光標識したセンサ素子をチップ化することでタンパク質等の生体分子を計測することができる。
 本技術は、(1)タンパク質を構成するペプチドの立体構造を読み取るために、蛍光標識したペプチドをアレイ化(5mm角セルに10点×10点=100点)したバイオ検出用チップ(3セル×8セル=2400点)を作製し、(2)血液、尿、唾液等の体液などの検体を接触させるとペプチド誘導体が多様な二次構造をとることで生ずる蛍光強度変化を利用する(図1)。(3)蛍光強度変化パターンを検出器により読み取り(図2a)、各点における蛍光強度の比(初期の蛍光強度と変化後の蛍光強度の比)を色調化して並べることでバーコード様のフィンガープリントが得られる(図2b)。(4)フィンガープリントはタンパク質の指紋であり、統計学的手法を用いてタンパク質を同定できる。
 本技術の成果を用いた生体計測システムを使用することで、タンパク質を簡便・迅速に検出できることから、病気の早期発見、予後のケア等に役立ち、早期発見は予防という観点からも重要であり、医療費の抑制に繋がる。また、菌や毒素などの感染症対策、バイオテロによる感染・汚染対策、食品安全性、環境汚染の安全性など、安心・安全な社会構築にも期待されることから、社会・公益性も高い。


図

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