ダイカストは、熱間鍛造に比べ製造時間は非常に短く量産性に優れているが、鋳造時のガスや酸化被膜巻き込みによる内部欠陥(巣、介在物)が発生しやすい。この内部欠陥は、最終形状への加工時に表面に露出したり、高強度化の妨げになる。この様な従来の鋳造法で問題となる内部欠陥の発生を防ぎ、使用できる材質の種類の幅を広げることのできる新たな鋳造法による鋳造装置を開発する。
本鋳造法では、アルミニュウム層流充填する注湯加圧シリンダと、製品を加圧成型する製品加圧シリンダを金型内に設ける。そして、(1)注湯加圧シリンダに注湯。(2)注湯加圧シリンダから製品加圧シリンダに充填。(3)湯が半凝固の状態において製品加圧シリンダによる製品部への加圧鍛錬を行う。その結果、(2)の充填時には、注湯加圧シリンダから製品加圧シリンダへ湯が運ばれる途中で不純物が最終製品外の場所に集められ、製品中に不純物が混入しないと共に、後工程での除去が容易となる。また、(3)の加圧鍛錬によって、材料の結晶粒の微細化が行われ材料強度を増すことができる。
従って、この鋳造法では、アルミ溶湯中の不純物の除去、巣の発生を防止することで鋳造欠陥の発生が防止され、スクロール型圧縮機のスクロール部品などの複雑な形状のダイカスト製品の製造効率を高めることができる。また、この鋳造法によって製造された製品は、製品部全体が直接加圧鍛錬されているので製品の材料強度が向上し、鍛造製品に近い強度が得られる。
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