日本の医療は個別化医療への潮流があり、医療現場で必要となる個別・簡単・高感度に診断できるPOCT(Point of Care Testing)システムの重要性が高まっている。POCTの最大デバイスであるイムノクロマトは、すでにインフルエンザ検査で大きな市場を形成している。しかし現在のイムノクロマトでは一般に感度が低いために簡便なPOCTを目指す上での障害になっている。インフルエンザ検査では鼻の奥まで綿棒を挿入しないと感度が出ないなど、特に子供には大きな負担になっている。イムノクロマトの高感度化のための一つの技術として蛍光利用は知られているが、蛍光色素の特性から装置が高額になり、市場価格とのミスマッチがおきて各社の開発が滞っている現状がある。
本技術開発では、イムノクロマトの最大市場であるインフルエンザを対象に蛍光診断システムを開発し、インフルエンザの誤診をなくし、引き続き診断市場の高感度POCT化を推進するための実用化開発を行う。国産のストークシフトが大きい新規蛍光色素を用いることで、従来の蛍光色素では実現できなかった、市場ニーズにマッチした高感度化と装置の低価格化を、同時に実現する。目標としている市販品の100倍程度の高感度化は大きな技術革新であり、新規性が高い。当初はインフルエンザ診断薬であるが、イムノクロマト技術として展開性があるのでPOCTの重要度が増す領域に展開でき、医療という成長事業分野への貢献が期待される。
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