高齢化の進む我が国において、老化に伴う排尿機能の低下に対する取り組みは不可欠である。特に前立腺肥大とされる患者数は800万人を越えるといわれており、その診断には日常の検尿記録の提供が有効であるとされる。しかし医療現場での尿流量の測定は専用のトイレ施設に頼っており、単回に限られる。一方、在宅での計測は紙コップが基本で、手書き記録に依存している。本技術開発は尿流量を測定する携帯型装置に関するものであり、簡便に単位時間あたりの流量を計測し自動記録するとともに、表やグラフとして出力し診断に資する点に特色がある。
従来、尿計測は蓄尿にともなう重量増加を時間に対して測定するのが一般的であり、高額の専用トイレ装置が必要であった。本技術開発では在宅で使用可能な携帯型尿流量計を開発し、毎日の排尿記録を自動でパソコンやスマホに出力することを可能にすることを目的としている。本技術は蓄尿・重量測定ではなくフローで単位時間あたりの流量を測定する点に特色がある。尿流により羽根車を回転させ、これを大バルクハウゼンセンサーにより追跡することで時間と流量の関係を連続的に計測し、データを記録する。本技術について特許を出願済みである。
本技術は臨床現場からの強い要請により開発が始められた。有益な診断情報を与えると期待される。排尿・排泄機能は年齢に伴い低下する。本技術開発は診断や予防医学のみならず、将来的に福祉や介護にもつながるという点で、社会性・公益性を有するものとして評価できる。
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