昨今、世界各国で無人機の研究開発が盛んに行われており、10年間で約8兆円の市場規模が予測されているなど、市場の拡大も見込まれている。民生用の無人ヘリコプタについては現在、マルチロータ型(ドローン)とシングルロータ型の2つに製品群が大別され、前者は空撮や監視、観測に、後者は農薬散布などの市場に対応している。このような背景のもと、「山岳レスキュー支援」においても無人ヘリコプタの活用が注目されている。
本技術は二重反転式ロータを用いたヘリコプタ(二重反転型ヘリコプタ)により、山岳レスキュー支援のための高高度飛行を実現するものである。従来のマルチロータ型やシングルロータ型に比べて二重反転型は効率が良くペイロードが稼げるため、支援で想定される60kg程度の物資の輸送に対応が可能である。また、開発者独自の技術である固定ピッチ式同軸二重反転式ロータによりシンプルな機体構造の実現とそれに伴う部品点数の削減や整備生の向上が期待できる。また、二重反転型ヘリコプタに特化した自律飛行制御・自動離着陸システムを、機体に搭載した加速度計と対地高度計によるセンサフュージョン技術により開発し、傾斜地や起伏の多い地面など、いかなる場所においても安定した自動離着陸が可能となる。
山岳レスキューの現状として、年々増加する遭難者に対応すべく、山岳救助用有人ヘリコプタの運用コストが増大している。本技術により既存の有人ヘリコプタの代行及び補完を行うことで、人命の救助とコスト削減の双方が期待される。また、山岳レスキュー以外でも災害時の応急対策や、環境保全のためのゴミの輸送などにも活用が期待できる。
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