半導体パッケージ用基板(1層、12ピン以下のローエンド製品)はマイコン、コンデンサ、各種センサー、LEDなどに欠かすことのできない基幹部品であるが、近年、海外の安い製品に押されて国内での生産が減少している。この事態を打開するため、特長ある先進的な製品・技術の開発が求められている。
本開発ではパターン付めっき版を装着したドラムをめっき槽中で回転させ、1回転する間に銅などの金属パターンを高速で均一に析出させ、これを粘着材付キャリア基材(ステンレス箔)に転写する新技術(下図)を開発する。このPPT(Pattern PlatingTransfer)基板技術が完成すれば、パッケージ用基板のパターン形成を1工程で連続的に行うことが可能となり、多段工程が必要なエッチングプロセスをベースとする現行技術と比べて、大幅なコストダウンにつながる。これに加えて粘着材付基材に転写しためっきパターンにモールド樹脂などを取り付けた後、基材を剥離することが可能なため、従来のパッケージに比べて薄型化でき、伝熱抵抗を1/50程度に低減できるため、LEDの小型化、長寿命化につながるなどの利点がある。さらには新プロセスでは、ソルダーレジストでパッケージの底部を形成するため、素子搭載形態の自由度が高まるといった利点も発現する。
半導体パッケージ用基板は、各種電子デバイス、LED素子用などに大量に普及しており、本技術により高速、安価で、大量生産できることになれば、現行技術と比較して明らかな優位性、競争力を持った製品開発につながると期待される。
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