新技術開発助成

第95回新技術開発-05

スポット式過熱水蒸気塗膜剥離装置の技術開発

技 術 開 発
契 約 者
進和ネクスト株式会社
代表取締役 奥村 修司
所 在 地
岩手県盛岡市
技   術
所 有 者
岸岡 俊
技   術
開 発 者
進和ネクスト株式会社
開発部 取締役 河原 一郎

技術開発内容

 従来、鋼橋等鋼構造物の塗装の塗り替え工事では、主に機械的な塗膜剥離が行われており、騒音、粉塵飛散等の問題が生じていた。これに対し最近、IH技術を用いて剥離対象部分を加熱し、熱的に素地から塗料を浮き上がらせて剥離するIH塗膜剥離方式が提案されている。しかし、この方法では、狭隘部・ボルト添接部の施工が困難であるという問題があった。
 本技術は、過熱水蒸気を構造物の塗面に当てることで対象部分を加熱し、IH方式と同様に熱的に素地から塗料を浮き上がらせて剥離する技術である。過熱水蒸気は通常の水蒸気をさらに加熱することにより作られる熱容量の大きな高温のガス体であり、本技術ではIH技術を用いたコンパクトな過熱水蒸気生成装置により生成される。この塗膜剥離装置は、大面積で平らな部分の施工に適したIH方式の塗膜剥離装置と組み合わせて、スポット的に非平面部分の塗膜を剥離するのに適している。具体的には、図1のように周囲にIHコイルの巻かれた円筒状の加熱部内に、図2のような金属製加熱エレメントを数十枚積層して水および水蒸気の流路を形成し、これに渦電流を発生させて発熱させることにより蒸気の生成、加熱を行う。最終的に過熱水蒸気となった蒸気は、剥離対象物に押し当てたカバー内部に放出されて対象物の加熱に用いられ、その後カバー先端部に設けたスリット状の隙間から周囲に放散される。
 本技術を用いた塗膜剥離装置をIH方式の塗膜剥離装置と組み合わせて用いることにより、多様な対象物に対し騒音や粉塵の発生しない塗膜剥離が可能になり、作業者や周囲の環境への影響を大幅に低減することができる。

図

図