新技術開発助成

第95回新技術開発-06

バイオトランジスタを用いた非侵襲自己血糖値管理デバイスの新技術開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社PROVIGATE
代表取締役 関水 康伸
所 在 地
東京都文京区
技   術
所 有 者
国立大学法人 東京大学
技   術
開 発 者
株式会社PROVIGATE
最高研究開発責任者 加治佐 平

技術開発内容

 糖尿病患者およびその予備群の血糖値管理に広くグルコースセンサが使われているが、採血の痛みや消毒の手間がかかり、また従来法は酵素を用いているため安定性に問題があり値段も高いことなど課題が残っている。本技術開発では、涙に微量(血中濃度の1/100)含まれるグルコースの高感度検出を可能にすることで、非侵襲的な無痛グルコースセンサの開発を目指す。
 本開発は、電界効果トランジスタ(FET)のゲート表面をグルコース結合性官能基であるフェニルボロン酸誘導体で化学修飾することにより、10μMから1mMの範囲で高感度にグルコースの検出が可能であることを明らかにし、これをもとに特許を取得している。同FETセンサを用いれば濃度感度的に涙糖は十分に検出可能であると期待される。そこで本技術開発では、FETセンサを内蔵した手のひらサイズの診断デバイスの開発、ならびに樹脂製のヘッド(コンタクト部)を目尻に軽く触れるだけで涙液が採取されセンサ部に誘導される機構の開発を目的とする同センサデバイスを用いて100名の被験者に対し血糖値と涙糖値の相関をとり、検査機器としての有用性を明らかにすることも、本技術開発の重要なテーマの一つである。
 非侵襲的に無痛でグルコース濃度を検知できる本開発デバイスは、医療を大きく変える可能性がある。糖尿病患者が多い現状では、日に数度にわたる消毒の手間や採血の痛みが解消され、患者の恩恵は極めて大きい。一方で、糖尿病予備群の血糖値管理が容易となることから、自覚症状がないために気付きにくいとされる糖尿病の患者を、今後減らしていくという観点からも公益性が高いと考えられる。

図


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