新技術開発助成

第95回新技術開発-07

Abtracer抗体スクリーニングシステム自動化装置の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 MOLCURE
代表取締役 小川 隆
所 在 地
東京都品川区
技 術
所 有 者
株式会社 MOLCURE
技 術
開 発 者
株式会社 MOLCURE
取締役CTO 興野 悠太郎

技術開発内容

 抗体医薬は副作用の少ない分子標的薬の筆頭として注目されているが、その探索には手間と時間がかかる。ここでは、スクリーニング手法として一般に広く使われるファージディスプレイ法に独自の改良を加えた自社技術Abtracer法を、自動で行なう装置を開発するものである。
 ファージディスプレイ法は抗体の抗原結合部位(タンパク質)とその遺伝子をセットで持つウィルスのライブラリーを用い、その中で標的結合した候補サンプルを選別して、さらに大腸菌等を用いて増殖させる過程を経る。このプロセスを数回繰り返し候補薬を絞り込むのであるが、大腸菌への感染力や増殖性の違いを反映したバイアスが問題となっている。これに対し本技術は初回のスクリーニングで得られた複数の候補サンプルを次世代シーケンサーで網羅的に解析し、抗体の設計図(DNA)を直接取得する点に特色がある。同社開発の人工知能で過去の抗体医薬DNAデータベースと照合することにより最適候補薬のリストを順位付きで作成し、目的の抗体医薬を製薬企業に納品するスキームである。そのためには候補サンプルをハイスループットに全自動で取得する装置の開発が急務であり、本助成事業でこれに取り組むものである。
 自動化装置はクライアントである製薬企業にレンタルし、クライアントがその希望標的に対するスクリーニングを自ら進める一方、同装置によってライブラリーから選別されたファージのDNAは同社が引き取って遺伝子解析し、候補抗体タンパクをクライアントに納入するとともに、クライアントの希望に応じ別途契約でその設計図を提供するというビジネスモデルである。新機軸であり、新産業創出につながることが期待される。

図

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