新技術開発助成

第95回新技術開発-09

新幹線用(鉄道用)軌道スラブ版型枠の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 佐藤工業所
代表取締役 佐藤 輝男
所 在 地
静岡県藤枝市
技 術
所 有 者
野中 泰志
技 術
開 発 者
株式会社 佐藤工業所
営業・技術 取締役執行役員 野中 泰志

技術開発内容

 鉄道の枕木や軌道スラブ、シールドトンネルなどに、プレストレスト・コンクリート(以下PC)が多数用いられている。PCは、圧縮力をかけたコンクリートであり、引張応力によるひび割れが入りにくい丈夫なコンクリートである。特に軌道スラブでは、レールを固定するための埋込栓ボルトなどの部品設置や、鉄道の加重や振動などに対する長期耐久性が求められており、その鋼製型枠の設計製造は技術的に大変高度になっている。
 本技術開発では、新幹線用軌道スラブのレール締結部埋込ボルトの固定手法、PC鋼材の後埋め材の脱落防止策、軌道スラブの欠け防止策などに関するものである。埋込栓ボルトは、これまで鋼製型枠への固定に大きな力の必要な重労働であり、女性や高齢者でも作業できる環境が求められていた。鋼製型枠に一列に連動する固定ピンを配置することにより、片手でハンドルを回すだけで埋込栓ボルトが固定される仕組みを開発する。PC鋼材の後埋め材の脱落防止策には、PCダボ穴型に螺旋状の溝をもうけることで後埋め材の抜けを防止する。軌道スラブの形状を工夫し、耐久性を高めスラブの欠けを防止するなどの改良を提案する(図1参照)。
 鉄道用軌道スラブや枕木は、鉄道の安全輸送を縁の下から支える大変重要なインフラの一つである。現在、高度成長期に作られたトンネルや橋の安全性が問われているが、労働者人口が減る中、鉄道用軌道スラブにおいても長期耐久性を低コストで達成することが求められている。本技術開発により、女性や高齢者でも容易に埋込栓ボルトが固定される鋼製型枠が製造可能となり、鉄道の安全輸送に大きく貢献する新技術であると考えられる。

図

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