近年、医療・航空分野などで、機器の小型・高機能化、緻密化、軽量化といった需要により、小径・高精度な深孔加工のニーズが増加している。申請者は独自のダイレクトスピンドル方式のガンドリルマシンを開発しており、すでに医療工具の高精度深孔加工の実績が多数ある。しかし、市場の要求はさらに高まっていて、現状の技術レベルでは非常に困難な極小径超深孔加工の要望が増えている。
上記市場ニーズに応えるために、他社にはない小型に特化した自社製ガンドリルマシンを開発し、孔径φ1.0で孔深さ/孔径が現状の110を大きく超える230となる深孔加工技術を確立する。そのための要素技術として、独自のガンドリルの自動振れ止め機構、サーボ特有のフィードバック制御をおこなう新型サーボスピンドル、切削油用クーラントタンクポンプの高圧化開発をおこない、従来にない高精度の深孔加工実現を目指す。また、現在、手作業となっている極小径ガンドリルの再研磨を自動化する自動再研磨装置を製作し、加工品質の安定化をはかる。
本技術開発により、脳外科手術工具や歯科用手術工具において従来実現できなかった深孔加工を実現し、日本の医療器具・手術工具のグローバル競争力を強化することができる。さらに医療分野以外のIT機器、自動車部品、ロケットエンジン部品などの分野に本技術を応用することにより、これらの部品性能の向上が期待できる。
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