新技術開発助成

第99回新技術開発-10

極低温高速ポンプ用小型高性能モータの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 エイ・エス・アイ総研
代表取締役 野尻 信弘
所 在 地
東京都千代田区
技 術
所 有 者
渡辺 浩一
技 術
開 発 者
株式会社 エイ・エス・アイ総研
宇宙航空エンジングループ
事業所長 太田 豊彦

技術開発内容

 近年、ロケットエンジン推薬供給用ポンプの電動化による構造の簡素化等のメリットが認識され、その開発の機運が高まっている。そのためには、モータとポンプを構成する要素部品を一体化したキャンドタイプの専用モータの開発が不可欠となる。この専用モータは、ポンプに組み込んだビルトインモータとなるが、各種作動流体、極低温、真空環境等の特殊環境に対応させ、高速回転、高トルクを安定して実現する必要がある。
 そこで本新技術開発の対象とするタイプのモータとしては、鉄損がなく、鉄芯による磁気飽和がない等の特徴を有し、コギングトルクがなく低ジッタを実現するブラシレス・スロットレス(BLSL)DCモータに着目した。推力2t級のロケットエンジンへの適用を想定して、34kWの設計出力を持つキャンドタイプのターボポンプ専用モータを設計し、独自の構造設計・製作を経て、液体酸素(-183℃)より温度が低く、極低温の模擬流体として使用される液体窒素(-196℃)で冷却した状態で、60,000rpmの実現を目指す。
 本新技術開発により、極低温環境下で推力3tまでのポンプに適用できる高トルク、高速回転を実現する専用モータが実現することによって、小型人工衛星の打ち上げコストが低減でき、当該産業の活性化が期待される。またこのモータの開発・製作技術の確立により、宇宙ステーション用の電動ポンプ、航空機用燃料循環用電動ポンプ、航空機エンジンの試験機駆動用モータ、各種工作機械用の加工軸駆動用モータ、自動車塗装用ロボットの塗装液吹き付け装置用モータなど広範囲での応用が期待され、当該技術基盤において高い社会性・経済性が図られるとともに、当該モータの安定した性能による各種機器の安全性の確立と普及が期待される。

図
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