微粒子表面への薄膜コーティングによる物理・化学的高機能化のニーズは、二次電池市場を始め、触媒、塗料等の工業製品や医薬品などの市場にて期待されている。そこで、このような数十ミクロンオーダの微粒子表面へ効率よく薄膜形成する実用機の開発が求められている。
本技術開発では、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition)を改良し、立体物である微粒子へのコーティングに適した真空チャンバー系を開発する(図1参照)。具体的には新規開発したバレル電極(多角柱型立体電極)とガスシャワー電極間でプラズマを発生させ、さらにバレル電極を「ゆりかご」のように揺動し、また周期的に打刻することによりバレル電極への付着の課題を解決し、さらにこれにより微粒子を攪拌させ膜厚を均一化する。このような機構により、プラズマが不安定になる課題に対しても、高周波電源系と電極間に新たな制御技術を有するマッチング回路を開発しプラズマの安定化を図る。これらにより母材として金属やアクリル樹脂など多岐の微粒子に、均一かつ密着性の高いコーディングを実現することが可能となる。
本装置による微粒子コーティングは、近年、需要が増大している二次電池の正極粉末材料の反応制御用としてのニーズがあり、さらに耐久性、耐候性、潤滑性、ガスバリア性等々の極めて有益な特性を有することから、幅広い産業分野での活用が期待される。
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