新技術開発助成

助成テーマ完了認定企業紹介 008

第81回 平成20年度第1次助成テーマ

完了認定 平成21年9月
代表取締役
小林 茂樹
企業名 株式会社 形相研究所
会社概要 設立 :1995年5月
資本金 :3,700万円
従業員 :5人
事業内容 人間の認知方式を反映した知覚・認識技術の開発
3次元画像による計測、検査技術の開発
プリント基板実装検査装置の開発、販売
助成テーマ名 スキャン方式3D検査技術の開発

開発技術の概要

 従来とは異なる、新しい3次元画像計測原理を開発し、この原理に基づいて、プリント基板のクリームはんだ印刷検査装置を開発しました。

 新しい3次元画像計測原理は、対象物を色彩の異なる上方照明、側方照明(手前および反対側)により照明し、傾斜姿勢の1次元カラーセンサカメラで撮像して獲得したカラー画像を用いて、カラー照明された対象物画像の画素ごとのカラーバランスと、対象物の表面角度との対応性から、対象物の表面角度を計測して、その面積、高さ、体積を算出する原理です。

 この原理(カラードメイン法)をプリント基板に印刷されたクリームはんだの形状検査に適用しました。

 従来から、レーザビーム照射法や光切断法に基づいたクリームはんだの3D検査機がありましたが、これらの検査機に比べてカラードメイン法はつぎのような長所があります。

1. 微小クリームはんだにも適用できること
これまでの3D検査機は、照射する光パタンの太さが分解能の限界でしたが、カラードメイン法は物体を着色した色彩の比率を用いるため、原理上分解能の限界がありません。
したがって、これからどんどん小型化する携帯電話用など、将来のクリームはんだ自動検査にも適用することができる方法です。
2. 絶対高さではなく表面角度を検出すること
これまでの検査機の計測原理はすべて、物体の絶対的な高さを検出する方法であるため、例えば携帯電話のプリント基板のように、軟らかくて薄く、平面度の良くない基板上のクリームはんだを計測するには、計測の場所ごとに基板のうねりを一々補正しないと、はんだの計測ができませんでした。
カラードメイン法はこれに対して、物体の表面角度から高さを算出するので、はんだが乗っている基板の高さにまったく影響を受けない原理です。このために、煩雑な高さ校正の計算が不要になり、安定した結果が得られます。
3. コストの低減
カラードメイン法は以上のように、絶対値計測に基づかない方法であるため、これまでの検査機のような神経質な機構の調整や細かい都度補正が必要ないため、製作コストの低減が可能です。
世界不況を越えて格段に低価格化する電子機器の生産設備として、格段に低価格な検査装置が求められる時代に、カラードメイン方式検査装置は最適と期待されています。

これからの計画

 今回試作した検査装置は、テレセントリック光学系を適用したインライン型でしたが、今後は、分解能を上げて微小化はんだに適用できる検査機、あるいはエリアセンサを用いた卓上型検査機など、現場ニースに対応した形態への展開を用意しています。

企業からのお願い

 当社はこのほか、カメラの光軸を3次元自動移動して、物体の3D画像を獲得するリアルスコープ技術を開発し、プリント基板の部品はんだ付の3次元検査に適用しています。またこの技術を人体に適用して、人体表面の精密な位置決め計測技術に発展させようとしています。
 このように当初は、独自の技術を開発し、それに基づいて様々なアプリケーション開発に対応していくことを、当社の仕事と考えています。

問い合わせ先 E-Mail:kobayashi@keisolabs.com
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