"人は血管と共に老いる"とは有名なオスラー博士の言葉ですが、この血管老化を加速するのが生活習慣病です。この血管の老化こそ、動脈硬化に他なりませんが、この血管壁の構造上の変化に先立って、血管の機能障害が先行すると言われており、最近のトピックス伴っています。脳梗塞や心筋梗塞、腎透析などハンディキャップに陥る前に、有効な予防策を立案することが、国民の健康維持をはかる上で重要であると考えています。
ユネクスではこの血管の機能障害を評価する方法として開発されたFMD(血流依存血管拡張反応)検査法に特化した超音波画像診断装置を開発し、世界に先駆け商品化を行いました。血管の内腔部分で血流にさらされている内皮細胞は、血流の状態を感知し、循環器系に伝達する物質(NO:一酸化窒素)を出します。NOが正常に出ていれば血管が健康な状態ですが、機能障害を受けるとNOがでにくくなります。FMD検査法では、計測部位の血流量を人為的に変化させ、内皮細胞に刺激となるずり応力を増やすことで、NOの産生をうながし、その産生に応じて弛緩する血管の、径の変化量を計測することで評価を行います。
今回の開発助成では、刺激となるずり応力をリアルタイムに計測する技術を組み込み、刺激量と反応量を比較する機能をもつ装置開発を行いました。また、血管の機能評価には血管壁の器質・形態の評価も必要であり、同装置では、血管弾性や血管壁厚も合わせて計測できる機能を有しています。こうした一連の計測が自動でできるように、画像認識などによる血管位置の確認を自動で行ないながら、正しい位置で計測が継続できるようになっており、より容易に血管の機能検査ができるように工夫されています。
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