1.1 何に関する技術開発か
外科手術において、開腹手術ではなく低侵襲な鏡視下手術が開発され世界規模で拡大している。しかし、低侵襲に向け数ミリの切開創(創とは切開による傷のこと)の差異が問題にされるが、手術創を設定するための切開用メスは多種の切開径に対して1種類を使い回している。しかも外科医の感覚、経験に依存している。術者の技量、体調、経験により適切な切開径が開創されず、術後の回復が遅れる問題も有している。1o違っただけで痛覚神経の裁断の本数が著しく違い、痛みも伴う。また、僅か数ミリでも切れ味が悪いと創部がケロイド化(瘢痕化)することもある。本開発は径の異なる数ミリの切開創を正確に、適切な幅で開創する切開機器の開発をしました。
1.2 どのような新技術で達成するのか
腹腔鏡手術において、お腹の表皮をメスで小さく切開し、トロッカー(医療機器)を挿入
する場合、腹壁を貫通させるために相当の力が必要であり、且つ力のかけ具合が不安定なため、貫通後内臓まで届き傷つける不安全さがあった。
今回、術者の技量に関わらずバネの慣性力を利用して腹壁に一瞬で穴をあけることができる。内臓に傷をつけることがなく安全である。
術者の技量に関わらず、的確な寸法を開創して美容的にも完治期間を少なくするのが最大の役割である故に、複数の開創用メスを持ち適正な幅の開創用メスを選び、ばねによるエネルギーで発射し、的確な寸法で開口するメス(弊社呼び名:ファインタッカー)を試作しました。弊社の対象物に合わせた刃先形状のナノレベル加工技術により実現できた。
1.3 その結果どのような特長のある商品ができるのか
今回のプロジェクトでは、多種類の幅の切開創を正確に確実にする事を目的とし、多種類の手術創(2o、3o、5o)に対応し、かつ小径の皮膚切開用カッターとした。
《結果として》
@ 術者の経験に関わらず、正確な皮膚切開ができる
A 腹腔鏡手術でばねの慣性力で安全に穴をあける
B 切開がシャープなため切口が直りやすい
→入院期間の短縮で医療費削減
→患者の社会復帰速まる
C 今後の医療機器の小型化に対応する切開創を提供
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