助成テーマ完了認定企業紹介 048
第99回 平成29年度第1次助成テーマ
|
開発技術の概要 |
|
国内の乳がん死亡者数は13,000人/年※1で、罹患率は11人に1人※2と高率、特に若年層が罹患しやすく、30代〜60代女性のがん死亡原因1位※1です。一方、早期に発見されれば、生存率が非常に高いというデータ※3も有ります。
乳がん検診では、マンモグラフィーと超音波検査(ハンドヘルドエコー)が一般的です。両者とも乳房に触れられることに対する心理的な恥ずかしさ、前者は、乳房を挟み込んで測定する際の痛み、放射線被ばく、若い人に多い高濃度乳房におけるがん発見の感度の低さ※4、後者は、熟練者のスキルが必要、という課題があります。 Lily MedTechでは、東大発の超音波CT技術をベースに、“誰でも(高濃度乳房の人でも)”、“誰によっても(術者に依存なく)”、“女性に優しい(痛みや被ばく、接触がない)”をコンセプトに、乳がんの早期発見に貢献したいと考えています。現在開発中の装置の外観を図1に示します。検査では、ベッドにうつ伏せに寝て頂くことで、測定が行われます。リング振動子と呼ばれる検出器が、非接触で乳房全部をスキャンすることで、乳房を輪切りした超音波断層画像が連続的に撮像されます。ハンドヘルドエコーでは、超音波プローブの走査によって病変部の見え方が左右されます。一方、超音波CT技術では、全自動で高精細の画像を生成することで、超早期の病変の検出を目指しています。更に、コンピュータ画像処理技術によって、3次元表示やMR等の他の診断装置と同じような画像を構成することで、病変組織の視認性の向上が可能になると考えています。 新技術開発助成のプロジェクトでは、リング型振動子による乳がん腫瘍血流の検出技術(ドップラー)の開発にチャレンジしました。ハンドヘルドエコーでは、悪性と良性の腫瘍の判別も、検査者のスキルに依存することが課題でした。本プロジェクトでは、リング型振動子を使用した東京大学と共同出願した独自の診断アルゴリズムで、悪性腫瘍に伴う微小な血流の検出技術を開発しました。従来の技術に比べ、数分の1の微細な血管、数分の1の遅い血流の画像化に成功しました。断層画像から病変領域を選別し、血流画像から良悪性を判定する、さらにAIによる全自動判定への応用が期待されます。 ※1:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」、人口動態統計によるがん死亡データ(2017年) ※2:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」最新がん統計(2019年1月21日更新) >3.がん罹患(新たにがんと診断されること 全国推計値)>5)がんに罹患する確率〜累積罹患リスク(2014年データに基づく)より ※3:全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2019年4月集計)による ※4:Wendie A. Berg, Andriy I. Bandos, Ellen B. Mendelson, Daniel Lehrer, Roberta A. Jong, Etta D. Pisano. Ultrasound as the Primary Screening Test for Breast Cancer: Analysis From ACRIN 6666. Journal of the National Cancer Institute, 2015; 108 (4): djv367 DOI: 10.1093/jnci/djv367 |
これからの計画 |
探索的臨床研究の開始 医療機器製造販売承認の取得・装置販売開始 治療用装置の開発 |
企業からのお願い |
乳がんは早期に発見できれば生存率が高いがんであるにも関わらず、検診率が低いという課題があります。女性に優しい乳房用の画像診断装置を早期に実現するため、開発・および臨床研究への皆様のご支援・ご協力をお願い致します。
|
|