近年注目を集めている再生医療は、iPS細胞・間葉系幹細胞などを大量に培養する必要があり、ヒトの肝臓の再生には、1010個オーダーの細胞、比較的小さい臓器でも108個オーダーの細胞が要求される。1010個の細胞数を培養するためには、iPS細胞では10cm シャーレ(培養容器)660枚、MSC細胞で10cm シャーレ4000枚が必要となる。また、ワクチン生産において、哺乳動物細胞(MRC-5細胞、MDCK細胞、Vero細胞)を用いた生産の開発が進められ、海外製のセルファクトリー(多段化培養容器)などを用いて生産が行われている。本新技術開発は閉鎖系で高品質な細胞を大量かつ低コストで生産可能な新規の培養容器―Cell Cube、Cell Cube専用の培養装置をシステム化した自動培養装置の培養ユニット部分を開発した。
本システムは専用培養容器の使用及び操作を自動化することによって以下のような従来細胞大量培養に存在する問題を克服した。
従来細胞を大量培養する時の問題点:
(1)開放系であるため細胞混入・汚染のリスクが高い、(2)実験室スケールでの大量培養には限界がある、(3)作業者による品質のバラつき、(4)培養容器はほとんどが輸入品である、(5)自動化が難しく、巨大な装置となる。
本システムの開発により再生医療に必要なiPS細胞・間葉系幹細胞、ワクチン生産用細胞を閉鎖系で高い品質の細胞を大量かつ低コストで生産・提供できるようになります。
|