助成テーマ完了認定企業紹介 063
第109回 令和4年度 第1次
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開発技術の概要 |
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弊社が今回開発した「ツーサークルローラーを用いた超省エネ型撹拌機」は、オロイド体註1)と呼ばれる撹拌翼を使用しています。この「オロイド体」は回転させても重心の上下動がなく、極めて小さなエネルギーでよく転がるという特長があり、これを撹拌翼として使用したオロイド撹拌機は省動力での送水が可能で、極めて省エネでありながら、従来型のエアーレーター方式やプロペラ撹拌方式と比較して高効率の撹拌、曝気、送水が可能です。
註1)「オロイド体」は、2つの円を直交させ、各円の中心を√2Rという距離で配置し(図1)、法線でつないだ幾何学的な物体(写真1、図2)で、1929年にポール・シャッツ(スイス)によって発明された。
しかしながら、オロイド撹拌機は、理論的且つ現実的に優れた性能を発揮したにも拘らず、稼動開始から3ヶ月〜6ヶ月程度で壊れるという致命的な欠点から、商品としての実用化が叶いませんでした。 弊社はその原因となるオロイド撹拌機の2軸不等速回転の動的観察データを解析し、駆動中の矛盾蓄積を解消するために「欠け歯歯車」を用いた新たな動力伝達機構を考案しました。またそれに関連した1件の基本特許を国内で出願し、取得しました。海外でも中国、米国での特許取得に加え、欧州49ヵ国で承認され、英、仏、独、蘭、瑞西の5ヶ国で特許を取得しています。 また、自社内に試験水槽(1m×2m×1m)を製作して、プロトタイプ試験機を製造し、連続運転試験を開始。その結果、全く故障することなく4年以上にわたって継続運転しうることを実証しました。一方で実用化に際しては撹拌翼の軽量化は避けられないと考え、翼内部を空洞化することによって軽量化を達成しようと考えました。様々な検討・試作を重ねた末、ステンレスの板金加工によって、撹拌翼を作成することとなり、Cut&Tryで形状、寸法、角度等を精密に確認しながら、最適な加工方法を見つけ出すことができました。 このオロイド撹拌機を実用化するにあたり、フィールド試験を実施する必要があり、このステンレス撹拌翼の作成開発と、フィールド試験の実施は、市村清新技術財団の新技術開発助成を受けて実現することができました。写真3に製作したステンレス撹拌翼を示します。
オロイド撹拌機のメリットは、送水能力が大きく、電気代を大幅に削減できるという点にあります。電気設備のないところでは、ソーラー発電で稼働させることも可能です。ランニングコストの低減を図ることが期待され、地球温暖化防止にも大きく寄与すると考えます。 |
これからの計画 |
本超省エネ撹拌機の特長である、送水力の大きさ、撹拌効率の良さ等の優位性から、湖沼・池・堀等の閉鎖水域での水質改善、並びに汚水処理分野の水質改善等の市場に特に適しています。 「オロイド撹拌機」のメリットは、コンパクトで、設置且つ設備設計も容易であることから、イニシャルコストの削減が期待されると共に、従来から使われている撹拌装置(スクリュー式、パドル式等)よりも消費電力を1/50以下と大幅に削減できると見込まれ、ランニングコストの大幅な低減を図る事も可能となります。 これらの利点は用途関連分野の企業に対しての大きなアピールポイントとなり、下記分野の国内外市場で展開できると考えています。 1.湖・沼・池・堀等の閉鎖水域の浄化(環境浄化) 2.民間事業所の排水処理・汚泥処理工程 3.高効率撹拌による溶存酸素の安定供給 4.化学装置・食品製造・スラリー液等の各工程における撹拌・混合 5.栽培・漁業(養殖)・水族館の遊魚水槽の循環送水と曝気 6.その他、各種生産工程での粉体等の混合・撹拌 |
企業からのお願い |
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また、当社は本件の他にもさまざまな独自の商品を開発してきました。現在、生産・販売で高い評価を得ている商品を紹介させて頂きます。
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