セラミックスとアルミニウムまたはグラファイトとアルミニウムからなる金属基複合材(MMC)は、金属やセラミックス、グラファイト等の単一素材と比較して軽量、高剛性、低熱膨張性、高熱伝導、振動吸収性に優れ、次世代の材料として期待されており、更なる物性の改善が求められております。一方、セラミックスを含むMMCは、難切削材料であり、機械加工時の低コスト化が課題となっていた。
本技術開発においてSiCを代表とするセラミックス微粉末、グラファイト粉末を使用することにより、曲げ強度、引張り強度、ヤング率等の機械強度が飛躍的に高く、また加工性に優れたSiC/Al MMCや熱伝導、ヤング率に優れたグラファイト/Al
MMC複合体が製造できるようになった。これらを使用しニーズに即した具体的機械部品、放熱材等の製品の試作を行った。
【SiC微粉末/Al MMC素材】
SiC微粉末を複合化する技術を開発し、曲げ強度、引張り強度が従来品の約2倍で、工具摩耗が約2/3と加工性に優れた新しいSiC/Al
MMC素材を製作できることに成功した。これを使ってユーザーが希望するコンプレッサーの高速回転スクロール、半導体検査装置用部材の試作を開始している。
【グラファイト粉末/Al MMC素材】
従来グラフィト/Al MMCはグラファイト焼結体にAlを含浸して製造されていたが、本開発ではグラファイト粉末、SiC超微粉末を調合したプリフォームを作成し、それにアルミニウムを含浸することで新しいグラファイト、セラミックス/Al
MMCを製造することに成功した。これによりCu並みの熱伝導率があり、低熱膨張、高ヤング率を有するグラファイト/Al MMC素材が自由に設計製造できるようになった。パワーモジジュール用放熱板、LED放熱素材等に試作を開始している。
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