新技術開発助成

助成テーマ完了認定企業紹介 073

第111回 令和5年度 第1次

完了認定 令和7年1月
代表取締役・渡邊 学
代表取締役
渡邊 学
企業名 株式会社トーヨ
会社概要 資本金 :25,000千円
従業員 :32名
事業内容 機能繊維を用いた防護服・保護具の製造と販売
助成テーマ名 独自の試験装置製作を通じた軽量チェーンソー防護ズボンの開発

開発技術の概要

今回の新技術開発テーマ「独自の試験装置製作を通じた軽量チェーンソー防護ズボンの開発」では、試験装置の製作と新規防護材料の開発の二つの技術開発を実施した。
試験装置の製作について、JIS T8125-1:2022の試験規格には要件や試験条件の記載はあったが、具体的な設計図面がなかったため、装置全体の設計を独自に行った。試験片取付台の向きの変更については、上下調整方法や取付方法の知見を活用し、規格通りに実施した。
最新のガイドバーへの変更に関しては、ガイドバーメーカーの助言を得て、マウントを変更することで取付と張力調整を容易にした。また、チェーンソーの回転方向に対し支点とスプロケットの固定が逆ネジとなるため、取付方法を工夫した。
支点軸周りの慣性モーメントの数値と検証方法は示されており、基準を満たしながら切断力を確保する必要があった。検証には時間を要したが、切断力の調整方法を見直し、慣性モーメントの検証値に影響を与えない設計とした。
設計担当者と協議を重ねた結果、駆動装置の合理化と慣性モーメントの精度向上を図るため、9月に駆動軸の向きを変更することで最終案を決定した。当初の完成予定は2023年12月であったが、最終的に2024年2月に完成した。

防護材料の開発は並行して進めた。通気性を確保するため、格子状の組織設計を見直し、高強力ポリエチレンとBCFナイロンを交互に配置することで、剛直性と柔軟性を併せ持つ緯糸を採用した。織組織の改良では、緯糸の密度を15本/インチから21本/インチに変更し、切断抵抗性の向上と通気性の確保を図った。
本技術開発により、開発したチェーンソー切断抵抗性試験装置を活用し、8種類の試作を実施。製品評価のみならず、防護材料の切断評価も社内で行える体制を構築した。
チェーンソー切断抵抗性試験はJIS規格に適合しており、ユーザーへの切断力の説明が容易になり、試験条件や仕組みを分かりやすく伝えられるようになった。
今回の事業では、有望な防護材料を2種類選定した。社内試験で基準をクリアし、公的試験においてJIS適合を確認しながら改良と切断抵抗性試験を進めている。
また、弊社はISO 9001認証を取得しており、社内試験でもJIS適合試験を実施可能である。そのため、JIS Q1000に基づいたJIS適合製品として自社販売が可能となった。
一方、公的試験の試験報告書の結果が出るまでに1〜2カ月を要した。製品試験は期間内に合格したが、防護材料の試験が7月31日を超過した。今後も防護材料の試験と製品のフィールドテストを継続し、改良を進め、早期の市場を目指す。

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これからの計画

現在のところ、防護材料は7枚重ねを予定しているが、フィールドテストや切断抵抗性試験の信頼性、および量産効果による原材料の価格を確認する。将来は6枚重ねにすることでさらなる快適性と軽量化及びコストダウンが可能になると考えている。
引き続き、防護素材の着用評価とフィールドでの耐久試験を通じて、快適性、耐久性、安全性に問題がないか確認し、より良い製品を目指す。

企業からのお願い

厚生労働省では伐木作業の安全対策として適切な下肢防護衣の着用を義務づけています。弊社は厚生労働省のガイドラインにあるJISに適合した防護服の技術開発を行う体制構築を目的に本事業での新技術開発を行いました。間伐などの伐木作業を行う場合は各都道府県の安全講習と弊社のJISに適合したチェーンソー防護ズボンが必要となりますのでよろしくお願いいたします。不明な点など御座いましたらご連絡ください。



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