
植物研究助成 26-04
シイ属、カエデ属、タケ・ササ類のテルペン類の放出特性の解明とそれら放出速度の定量化
代表研究者 | 静岡県立大学 食品栄養科学部 環境生命科学科 助教 望月 智貴 |
【 背景 】 |
地球全体で、植物が生産し放出するテルペン類(生物起源揮発性有機化合物)は人為起源揮発性有機化合物の放出より数倍多い。O3やOHラジカルとの反応性が高いテルペン類は二次有機エアロゾルを生成して雲生成に関与し地球温暖化の抑制効果がある。他方、テルペン類は香り成分であり森林浴に代表されるように人の心身をリラックスさせる効果がある。テルペン類の放出の有無、成分、放出速度とそれらを制御する環境要因は樹種ごとに異なる。シイ属とカエデ属(日本の広葉樹の中で森林面積が同率4位)、タケ・ササ類(6位)のテルペン類の放出速度は解明されていない。更に、タケ・ササ類は放置された里山に進入し竹林面積を増大しており、生態系の改変が社会問題になっている。 |
【 目的 】 |
本研究では、シイ属、カエデ属、タケ・ササ類のテルペン類の放出速度を函南原生林と植物研究園で測定し、それらの放出速度を制御する環境要因を解明する。更に、葉内のテルペン類前駆体含有量を測定し、テルペン類合成経路の活性度とテルペン類の放出速度との関係を解明する。 |
【 方法 】 |
枝チャンバー法でテルペン類の放出速度を同時に2個体測定でき、バッテリー駆動の軽量可搬型のガス採取装置を作製する。枝葉の一部を透明なテフロンバッグで覆い、活性炭に通してテルペン類を除去した清浄空気をその中へ通気する。袋内のテルペン類は吸着剤を充填した採取管に捕集し、加熱脱着装置付きガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で測定する。葉温と日射量を測定しデータロガーに記録する。葉内のテルペン類前駆体含有量を測定するため、粉砕した葉と硫酸をバイアルに入れる。イソプレン前駆体をイソプレンへ、モノテルペン前駆体をリナロールへ変換し、それらをGC-MSで測定する。 |
【 期待される成果 】 | ||||
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