植物研究助成 31-01
汎世界的に分布するユノミネシダに含まれる複数の進化学的種の解明
代表研究者 | 香川大学 教育学部 准教授 篠原 渉 |
【 背景 】 |
ユノミネシダは汎世界的に分布するシダ植物のひとつであり、その分布域はアジア、アフリカ、オセアニア、南米アメリカ大陸である。2021年、私たちの研究グループはユノミネシダに2つの進化学的種があり、両種共に世界に広く分布することを明らかにした。さらに日本ではこの2つの進化学的種はともに日本に分布しており、屋久島で同所的に生育していることを明らかにした。ではこのユノミネシダの2つの進化学的種は日本でどのような分布パターンを示すのだろうか?特に北限となる伊豆半島ではどちらのタイプが分布しているのだろうか?またユノミネシダではこれまで2倍体と4倍体の2つの倍数性が報告されているが、それぞれのタイプは倍数性との対応があるのだろうか? |
【 目的 】 |
本研究では、日本国内の主要な標本庫に収蔵されているユノミネシダの標本調査と日本各地のユノミネシダの採集から、ユノミネシダ内にある2つの進化学的種の分布およびそれぞれの倍数性を明らかにする。 |
【 方法 】 |
日本国内の分布の北限である伊豆半島においてユノミネシダを広く採集し、どちらのタイプが生育しているのかを明らかにし、その倍数性を調べる。また日本の主要な標本庫(国立科学博物館、東京大学、京都大学)の調査から、日本国内および世界のユノミネシダの2つの進化学的種の分布を調べる。 |
【 期待される成果 】 |
ユノミネシダ内の2つの進化学的種のうちひとつは新種であるが、タイプ標本に根茎鱗片の情報がなく新種記載が行われていない。本研究においてタイプ産地の標本がみつかって、その標本に根茎があれば、新種記載が可能となる可能性がある。またユノミネシダ2つの進化学的種の日本国内の分布と倍数性との対応が明らかになれば、それぞれの進化学的種の進化過程が明らかにできる可能性がある。 |