植物研究助成 31-04
毒きのこ創薬データベースの構築とメタボロミクス解析
代表研究者 | 立命館大学 薬学部 教授 井之上 浩一 |
【 背景 】 |
毒きのことは「人間の生命・健康に有害な成分を含むきのこ」であると定義されており、国内では天然に3000種類以上あるなかで、毒きのこの種類は数十%程度と言われているが、詳細は不明である。さらに、化学的分析が行われた毒きのこは僅かであるうえ、天然毒きのこの成分解析は殆ど研究されていない。 |
【 目的 】 |
本研究の目的は、LC-MSや高速向流クロマトグラフィーなどの技術を用いて、国内に生息する毒きのこを中心に、データベース(DB)の作成を実施する。特に、化学的分析(メタボロミクス)による成分解析を軸にして、デジタルデータを含むDB構築を目指す。 |
【 方法 】 |
①DB構築:オンラインストレージを利用して、WordPressによるオープンソースによるDB管理システムを構築する。 ②LC-MSメタボロミクス:各種成分の含有比率などのデータをクロマトグラフィー技術により取得する。 ③フィールドワーク:植物研究園施設の生息調査を実施する。 |
【 期待される成果 】 |
多くの研究者がLCクロマトグラム、MSスペクトル、遺伝子解析、成分情報、毒性評価、論文情報などを搭載したDBを利用することで、アフターコロナ時代、実験室に来なくてもオンライン上で創薬研究できる環境作りを目指す。また、植物研究園からの提供を得ることで、DBに登録していくことも持続的データ構築となる。最終的な期待される効果としては、薬となり得る毒きのこ成分の探索に有用な国内唯一のライブラリーとなる。また、食中毒原因究明にも役立てる標準品も提供できると考える。 |