植物研究助成

植物研究助成 32-10

光化学反応を応用した根圏土壌pHの非破壊イメージング法の確立

代表研究者 福井県立大学 生物資源学部 生物資源学科
准教授 塩野 克宏

背景

 植物は微生物や環境と相互作用し合いながら土壌生態系を構築している。その相互作用の理解には、「場」となる環境状況の把握が不可欠である。中でも、土壌pHは不均一に分布する養水分、土壌生物と植物の根が相互作用するため、時間的・空間的に環境情報を計測できる技術が待ち望まれていた。しかし、実際の土壌をつかって根圏土壌pH分布を非破壊で定量できる計測手法はなかった。

目的

 光化学反応を応用したオプトードは土壌、大気などの測定環境による影響を受けないため、新しい計測手法として期待されている。これまで、我が国の植物科学分野での導入の成功例はない。本研究は我が国初となる、根圏土壌pH計測法の確立を目的に実施する。

方法

 (1)二次元pHオプトード装置の作成。発光比率計測法に基づく、二次元pHオプトード装置を自作する。
 (2)寒天培地を使った二次元pHオプトードの精度試験。自作した二次元pHオプトードで、pHを変化させた寒天培地のpHを計測する。これにより、自作した二次元pHオプトードがどの程度、正確に計測できているか?精度を検証する。
 (3)二次元pHオプトードによる根圏pH変動の時空間的モニタリング。土壌で植物を栽培し、経時的に根圏土壌pHがどのように変化するのか?モニタリングする。その際供給する水のpHを変えることで、根圏pHが時間的・空間的な変化を計測できるか?確認する。その結果、pHの変化が確認できれば、目的としている根圏土壌pH計測法が確立できたことになる。なお水分供給を過剰にしても生育に悪影響が出ない植物種ということで、イネを研究に用いることにする。

期待される成果

 本研究の完成により、国内初となる二次元pHオプトードによる植物の根圏pH計測法が確立できる。pHの時間的・空間的分布をイメージングできる本技術は植物の生態研究の潮流を変えることのできる可能性を秘めている。この技術は今回、研究材料とするイネだけでなく様々な植物種、さまざまな土壌条件で利用できる。世界には農耕地として利用できない土地が67%存在し、その半分はアルカリ性土壌と言われている。こういったアルカリ性土壌での植物の生存戦略を理解し、生産性の向上にも本技術は貢献できるだろう。