植物研究助成 35-01
伊豆半島固有変種アマギシャクナゲ自生地における外来系統侵入の仮説検証
| 代表研究者 | 千葉大学大学院園芸学研究院 准教授 渡辺 洋一 |
【 背景 】 |
| 伊豆半島・伊豆諸島と周辺地域は、フォッサマグナ地区と呼ばれている。この地区には、第四紀の氷期・間氷期サイクルによる気候の変動と活発な火山活動のもとで分化したと考えられる植物群(フォッサマグナ要素)が200種ほど知られている。これらの種の多くは非常に限られた分布を有し、環境省の絶滅危惧種に指定された種も多い。アマギシャクナゲ(Rhododendron degronianum var. amagianum)は、ツツジ科ツツジ属に含まれるアズマシャクナゲの変種であり、伊豆半島に固有である。アマギシャクナゲの自生地は2カ所(天城山系・長九郎山)に限られ、特に天城山系では花の時期には多くの登山客が訪れる伊豆半島を代表する花木である。 申請者らは、本種を含む日本固有シャクナゲ類の種分化過程を解明する研究を進めている。その研究の過程で、アマギシャクナゲの2集団は大きく異なる遺伝的変異を有することを見つけた。この原因として、何らかの理由により外来系統(九州産の別種ツクシシャクナゲ)が長九郎山に持ち込まれた可能性を考えている。ただし、前述の解析に用いたサンプル数は集団あたり4-6個体と少なく、また自生地全体における外来系統の分布や、交雑個体発生の有無などといった保全上重要な知見は無い。 |
【 目的 】 |
| 本研究は、分布・形態調査および遺伝解析を組み合わせることで、長九郎山におけるシャクナゲ外来系統の移入仮説を検証し、その実態を解明することを目的とする。加えて、保全策の提言を行うことを目指す。 |
【 方法 】 |
| 2つの自生地(天城山系・長九郎山)において計400個体を目標に形態測定(開花個体を対象に花・葉の形態測定)および遺伝解析(MIG-seqを用いた一塩基多型の検出)を行う。この結果を先行研究のデータと統合し、仮説検証およびアマギシャクナゲ自生地における外来・在来系統の分布状況を解明する。 |
【 期待される成果 】 |
| もし仮説が正しかった場合、①外来種が植物(特に希少種)の存続にどのような影響を与えるか?今後の保全策の構築にも寄与する大きな知見をもたらすと期待される。加えて、②伊豆半島の固有植物の遺伝的変異やその地理特性を明らかにすることで、その生態把握(更新・遺伝子流動など)に貢献する。 |














