植物研究助成 35-04
御蔵島に生育する春咲きダイモンジソウの実態解明
| 代表研究者 | 富山県立大学工学部教養教育センター 講師 孫田 佳奈 |
【 背景 】 |
| 植物の開花季節性(e.g. 春咲き、秋咲き)は、多くの場合、系統レベルで保守的であり、遺伝的に決定されている。開花時期は個体の生育する局所環境に応じて多少の変異を示すものの、季節性が転換する例は稀である。日本列島に広く分布するダイモンジソウは秋咲きの植物であり、9-10月頃に開花する。しかし、伊豆諸島では4-5月に開花する春咲き個体が確認されている。春咲き個体は、明るい環境に生育する集団に高頻度で混在する傾向があり、また御蔵島と八丈島の2つの島で観察されることから、生育環境への適応として季節性が転換した可能性が示唆される。一方で、本来の開花時期を外れることによる生態的な不適合(トレードオフ)が生じている可能性も否定できない。 |
【 目的 】 |
| 本研究では、伊豆諸島に生育する春咲きダイモンジソウの系統的起源と適応的意義を明らかにすることを目的とし、以下の3点を検証する。 1.春咲き個体は集団中にどれほどの割合で存在するのか、遺伝的に固定しているのか 2.「春咲き」は御蔵島と八丈島で独立に平行進化してきたのか 3.春咲き個体は秋咲き個体と比較して適応度が高いのか、それとも低いのか |
【 方法 】 |
| 御蔵島里中において開花状況を記録し、昨春の開花個体を追跡調査することで、「春咲き」が遺伝的に固定している表現型か否かを確認する。また、御蔵島集団と八丈島集団を対象とした系統地理解析を行い、「春咲き」の起源と進化パターンを明らかにする。さらに、春咲き個体と秋咲き個体間で花粉稔性や種子生産量、P/O比を比較することで、開花季節性の転換に伴う繁殖成功度と交配様式の変化を検証する。 |
【 期待される成果 】 |
| 本研究は、同種内で開花季節性が転換するという稀な進化の実態を解明するものである。系統的起源と適応的意義の両面からアプローチすることで、島嶼環境という特殊な条件下における植物の適応戦略や適応のトレードオフを考察するための重要な知見を提供できる。 |














