植物研究助成 35-07
接ぎ木の活着前後における水輸送および生育実態の把握
| 代表研究者 | 大阪公立大学大学院現代システム科学研究科 教授 大山 克己 |
【 背景 】 |
| 昨年度実施した研究において、接ぎ木の穂木と台木との間で維管束が接続していない活着前では、接ぎ木された個体の体内での蒸散および吸水といった水輸送が抑制された一方、穂木と台木の間で維管束が接続した活着後では、抑制されていた蒸散および吸水は徐々に回復することを明らかにした。明暗に対する応答は、活着前では見られなかったものの、活着後には見られるようになった。一般に、植物工場のような環境を制御できる条件において、接ぎ木された個体周辺の温湿度が一定の場合、蒸散速度が大きくなると、気化冷却効果によって体温は低下する。したがって、接ぎ木された個体の体温変化を経時的に計測すれば、接ぎ木の成否を診断できる可能性がある。 |
【 目的 】 |
| 接ぎ木を安定的に活着できない場合、生産にかかわるコストが上昇するとともに、供給不足を引き起こす可能性が高まる。この課題を回避するために、本研究では、接ぎ木されたトマト個体の活着前後における水輸送および生育実態を把握するとともに、接ぎ木された個体の体温を連続計測することによって、接ぎ木の成否を非破壊・非接触で診断する技術を開発する。 |
【 方法 】 |
|
| 計測装置は、1)放射温度計または熱画像取得装置、2)電子天秤および3)計測用PCにより構成する。供試植物には、トマト(Solanum lycopersicum L.)を用いる。接ぎ木チューブを利用して、穂木および台木を斜め継ぎする。接ぎ木後、単独、または、複数個体を電子天秤上に置き、接ぎ木された個体、または、群落の体温および蒸散速度を連続的に計測する。また、計測と同一環境条件下で育成した個体の生育(生体重、乾物重および葉面積)および維管束の接続状況(活着状況)を計測する。 | |
【 期待される成果 】 |
|
| これまで、接ぎ木に好適な環境条件(たとえば、PPFD、飽差)は、経験や長期間を要する栽培試験により定めていた。また、接ぎ木の成否は、しおれや枯死など視覚情報にもとづいて判断されていた。しかし、本研究のような工学的な視点を接ぎ木生産に取り入れることで、客観的な根拠にもとづいて、接ぎ木の成否や接ぎ木に好適な環境条件を判断できるようになる。それゆえ、本研究の成果は、接ぎ木の低コスト安定生産に寄与すると期待される。 | |














