植物研究助成 35-08
ポータブルX線撮影機器による野外植物の非破壊内部観察法の確立
| 代表研究者 | 高知工科大学理工学群 准教授 大井 崇生 |
【 背景 】 |
| 可視光線よりも透過力の高いX線を用いたコンピュータ断層撮影(X線CT)は、内部構造の非破壊3D観察を可能にする技術として医学・工学分野で普及している。植物科学分野でも産業用X線CTを用いた3D解析の事例は増えてきたが、X線を漏洩させない遮蔽容器内で試料自体を回転させる設計である現行装置では、試料室内に入りきらないサイズのものや野外で生育している植物体は切り取る必要があり、非破壊観察の利点を活かせずにいる。 |
【 目的 】 |
| 本研究では、医療用CTのように固定された観察対象(試料)の周りを装置が回転してスキャンする撮影系をポータブルX線照射器と検出器によって構築し、野外植物体を対象とした断面像観察や3D解析の実現を目指す。 |
【 方法 】 |
| ポータブルX線照射器と検出器には訪問歯科検診や在宅ペット診断で用いられている持ち運び可能な市販機器を利用し、野外植物の形態情報を透過像から得る手法をまず確立する。太陽放射の影響の少ない実験室内のポット栽培個体を対象に撮影条件を確立し、続いて野外環境でも最高画質を引き出せるよう遮光シート等の補助器具も検討する。次に、ポータブル照射器と検出器を植物体の周りで対向させて回転できる撮影系を構築し、手動CTスキャンを試みる。対向させた照射器と検出器の距離を一定に保ちながら、観察部位を基軸に一定の角度ずつ連続的に移動させて撮影できるように、円形または半円形のガイド(レールなど)を備えた支持具を作製して行う。撮影後の画像処理には、手動で撮影した傾斜透過像からのCT再構築ができる電子顕微鏡用解析ソフトを用いて実施する。 |
【 期待される成果 】 |
| ポータブルX線検出器はサブミリメートルのレベルの空間分解能があり、茎や葉、花や果実などの内部の組織構造や維管束系を、非破壊で経時調査できる利点が得られる。また、既存のX線CT装置に比べて安価な機器で構成される測定系になるため、大学や農業試験場の研究者や技術者たち自らが日常的に行える観察・測定法として普及していくことが期待される。 |














