植物研究助成

植物研究助成 35-20

マルチリモートセンシング統合解析によるマングローブ林の長期変遷解明と土砂堆積影響評価

代表研究者 木更津工業高等専門学校
准教授 佐久間 東陽

背景

 沖縄のマングローブ林では、上流域の土地利用に伴う赤土流出が増加し、河床への土砂堆積が進んでいる。これにより根系の埋没や浅瀬化・陸地化が生じ、陸生植物への植生遷移が進むことが懸念されている。これまで衛星画像やドローンによる観測は行われてきたが、長期的な植生変遷の把握や土砂堆積プロセスの定量化、さらに両者の因果関係を統合的に明らかにした研究は少ない。効果的な保全策の立案には、土砂堆積と植生変化の関係を科学的に解明することが求められている。

目的

 本研究は、赤土流出に伴う土砂堆積がマングローブ植生の衰退や遷移を引き起こすメカニズムを、長期かつ多様な観測データに基づいて定量的に明らかにすることを目的とする。空中写真・衛星画像・UAV・地上撮影を統合し、過去から現在までの植生変遷を高精度に把握するとともに、物理モデルによる土砂流出・堆積シミュレーションを実施する。これらを重ね合わせることで、堆積量と植生変化の因果関係を空間的に解析し、保全に資する科学的知見を得る。

方法

 まず、長期の空中写真や衛星画像を解析し、マングローブ林の分布変化を把握する。次に、UAVや地上全天球カメラによる詳細な現地観測を組み合わせ、樹種レベルの情報を含む精密な植生変遷データを作成する。さらに、地形・土地利用・降雨などのデータを用いて土砂流出モデルを構築し、河口域における堆積量や分布を推定する。最後に、植生変遷データと堆積データをGIS上で統合し、土砂堆積が植生遷移に与える影響を統計的に評価する。

期待される成果

 本研究により、赤土流出がマングローブ生態系に与える影響が、土砂堆積による地形変化と植生遷移という具体的なメカニズムとして可視化・定量化される。これにより、上流域の土地利用管理や土砂流出対策の重要性を科学的に裏付ける基礎情報が得られる。また、複数のリモートセンシング手法と流出解析を統合した本研究のアプローチは、同様の課題を抱える他地域にも応用可能であり、生物多様性保全や持続可能な沿岸域管理に貢献することが期待される。