地球環境研究助成

地球環境研究助成06-03

地球温暖化の緩和に向けた高酸化耐性のCO2吸着剤の創製

代表研究者
東北大学 多元物質科学研究所・講師
岡 弘樹

研究の背景・目的

 カーボンニュートラルの実現のため、大気中のCO2を直接回収できるDirect Air Capture(DAC)技術の開発が急務であり、CO2吸着剤がその根幹を成している。しかし、大気中のO2が、CO2吸着剤を劣化させ、その吸着能を短期間で失活させることが課題だった。本研究では、多孔質材料に、CO2吸収を担うアミンもしくはイオン液体を内包させ、それらをO2から遮蔽し、高酸化耐性を有する新奇なCO2吸着剤の創製を目指す(図)。

図


研究内容・課題

 従来のCO2吸着剤の課題である酸化劣化を解決するため、本課題の研究内容は、次の3つの研究項目から構成される。①アミンもしくはイオン液体の多孔質材料への内包による新奇なCO2吸着剤の創製。その②酸化耐性および③CO2吸着能の解明。

課題解決の研究手法

 ①CO2を透過するがO2を透過しない多孔質材料を構築すると共に、アミンもしくはイオン液体を内包できる新奇なCO2吸着剤(図)を創製する。②新奇CO2吸着剤の加速劣化試験を実施して、吸着剤の劣化をCO2吸着量に基づき定量評価すると共に、劣化した吸着剤等の分析を通じて劣化機構を解明する。③多孔質材料中へのアミンやイオン液体の隔離に伴う、CO2吸着能への影響を明らかにする。

期待される研究成果

 本研究で達成される高酸化耐性を有する新奇なCO2吸着剤の創製は、大気中のCO2を直接回収するDAC技術の開発を大きく加速させることができ、地球温暖化の緩和に貢献できる。