地球環境研究助成07-02
コロイド型量子ドットによるメタ単結晶薄膜と新原理太陽電池の創生
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【 研究の背景・目的 】 |
単結晶コロイド型量子ドット(CQD)は溶媒中で基板上に自由沈降させると自律的に最密充填され狭い領域では3次元整列構造(超格子構造)を取ることが知られていた。我々は、切頂八面体形状を持つCQDをテンプレート上に沈降させることで各CQDの面方位を一致させつつ整列領域のサイズをマクロに拡大する方法を提案・実証し、更に最近、そのメタ単結晶薄膜とも呼べるCQD膜を光吸収層とする新しい原理で動作する太陽電池のアイデアの有効性を確認した。本研究は我々の技術を完成・発展させることで、高い光電変換効率を持ち低コストで製造可能な新原理太陽電池を実現することを目的とする。 |
【 研究内容・課題 】 |
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我々がこれまでに進めてきた、PbS CQDを溶媒中でテンプレート上に沈降させて広範囲に均一なCQD超格子膜を自己形成させる技術を進展させつつ、適切なキャリア輸送層(HTL, ETL)を開発し右図に示すような特徴的なバンドダイアグラムを実現可能にすることで、CQD超格子内に形成される複数の人工的エネルギーバンドを中間バンド(IB)、伝導帯(CB)、及び価電子帯(VB)として機能させる新しい動作原理を持つ太陽電池の作製技術を創出する。
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【 課題解決の研究手法 】 |
4つのサブテーマを定め、互いにフィードバックをかけつつ、研究を遂行する。 1. CQD超格子太陽電池のバンドダイアグラムの評価と設計 2. CQD配位子の検討とCQD超格子膜の作製技術 3. CQD沈降用テンプレートの大面積化 4. CQD超格子太陽電池の試作 |
【 期待される研究成果 】 |
現在実用化されている太陽光発電の3〜6倍に相当する光電変換効率が得られると世界的に期待されている最先端技術の一つが量子ドット(QD)超格子太陽電池であるが、高い効率は未だ実現されていない。CQDを用いる本研究のアイデアは、そのブレークスルー技術となり得る。本研究で高い光電変換効率を生む革新的な技術を実現することは、国際的な注目を浴びることが確実な大きな成果となる。 本研究の太陽電池は低価格で大量生産できるCQDを用いており、手頃なサイズで高い性能を発揮できることが見込まれ、実現すれば全ての人が手頃な価格で使えるクリーンな再生可能エネルギー源として国連のSDGsの目標達成に直接貢献できる、我が国独自の高い価値を有する技術となる。 |