地球環境研究助成07-03
欧州中小企業サステナビリティ人材教育手法の日本企業への導入
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【 研究の背景・目的 】 |
気候変動、海洋ゴミ、人権侵害、飢餓、紛争など、さまざまな社会問題が顕在化している昨今において、持続可能な地球環境や社会を確立するために、企業が有している役割と責任は大きい。欧州では、サーキュラーエコノミーの推進や非財務情報開示基準の設定など、企業が環境、社会の持続可能性を追求するための経営が強力に推進されつつある。しかし、このテーマはESG投資対策の側面が強く、人的資源の観点でとらえた研究はほぼ皆無である。さらに、中小企業においてもサステナブル経営の推進は例外ではないが、「ヒト・モノ・カネ」といった経営リソースの限界から、その取り組みはさらに遅れていると言わざるを得ない。わが国においても例外ではなく、サステナブル経営を推進するための人材をどう育成するのかが大きな課題となっている。 |
【 研究内容・課題 】 |
本研究の調査対象を英国中小企業とする。申請者の先行研究から、英国中小企業の中でサステナブルな経営を推進している企業は、サステナブルな社会構築に貢献する新商品・サービスを開発、市場投入することと、売上拡大、脱炭素化達成が相関していることが見出された。 本研究は、人材教育に焦点をあて、サステナブルな経営を推進する英国中小企業の人材教育方針や方法論を調査し、日本の中小企業へ導入するため「サステナブル人材教育プログラム」を確立することを目指す。 |
【 課題解決の研究手法 】 |
調査対象となる英国中小企業の中でサステナブル経営を推進する企業を選定し、その人材教育方針や方法論をインタビューや参与観察等によって明らかにする。また、業種、企業規模、経営年数、人材階層などによる人材教育方針や方法論の相違について考慮に入れつつ、より汎用性を鑑みた視点で調査を実施する。英国中小企業でサステナブル経営に効果的な人材教育方針や方法論をわが国の中小企業でも実施可能な形に変換しながら人材教育のプログラム化を試みる。 同時に、日本の中小企業においてサステナブル経営を推進する企業を特定し、同様の調査を試みる。そこには共通性と差異が存在すると考えられるが、英国企業の優位性だけでなく日本企業の優位性も明示することをめざす。 |
【 期待される研究成果 】 |
本研究の成果は、リソースが限られる中小企業に対して、サステナブル経営を推進できる人材教育メソッドの導入を促進できる。そうすることで、わが国の中小企業がサステナブルな新規事業の立案と市場投入、売上拡大を達成し、ひいては、当該企業のみならず社会全体の脱炭素化に貢献できると考える。 |