地球環境研究助成

地球環境研究助成03-01

日本全国の森林バイオマスサプライチェーン調査と利用可能量推計

代表研究者
宇都宮大学農学部・教授
有賀 一広

研究目的

 本研究では実際の森林バイオマスサプライチェーンを調査し、その調査結果を基に、地理情報システムGIS を用いた収支分析により、森林の更新費用も考慮した森林バイオマスの利用可能量を推計し、FIT で新規認定されている発電施設における燃料調達の可能性について検証した。

研究方法

 本研究では、国土地理院の国土基盤情報から10mメッシュの数値標高モデルDEM、道路データ、各都道府県より民有林の森林GISデータ、林野庁より国有林の森林GISデータを取得し、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツを対象として、流域で団地化した場合について解析した。

研究成果

 FITで新規認定されている発電施設の需要量と、推計した森林バイオマス利用可能量を比較した結果、九州や中部などの一部地域で需要量を満たせないと推計されたものの、全国的には需要量を満たす森林バイオマスが利用可能と推計された。

まとめ

 持続可能な森林経営や森林資源の安定供給のためには、路網整備を含めた集約化した団地への継続的な財政支援が必要である。

地球環境保全・温暖化防止への貢献

 森林バイオマスをエネルギーとして利用することは地球温暖化対策、再生可能エネルギー供給力の向上や中山間地域の地域振興に貢献し、本研究成果は、今後、日本全国における森林バイオマスのエネルギー利用計画に用いられることが期待される。

主な成果発表

(1) 藤井絢弓・武田愛子・長沢翔太・松岡佑典・有賀一広・斎藤仁志・酒井明香・白澤紘明・鈴木保志(2023)北海道におけるセミトレーラと欧州型CTL導入を考慮した利用可能量推計.関東森林研究74:113〜116
(2) 有賀一広・武田愛子・藤井絢弓・松岡佑典・白澤紘明・鈴木保志(2024)日本全国における到達路網費を考慮した未利用材利用可能量推計.関東森林研究75:印刷中
(3) 有賀一広・藤井絢弓・松岡佑典・斎藤仁志・酒井明香・白澤紘明・鈴木保志(2023) セミトレーラと欧州型CTL導入を考慮した未利用木材利用可能量推計.第19回バイオマス科学会議発表論文集:9〜10