復興支援新技術開発-02
循環回収型ハイブリッド除染機の開発
技 術 開 発 契 約 者 |
暮らしの科学研究所株式会社 代表取締役 吉田 菊躬 |
所 在 地 |
福島県郡山市 |
技 術 所 有 者 |
野崎 淳夫 |
技 術 開 発 者 |
暮らしの科学研究所株式会社 部長 成田 泰章 |
【技術開発内容】 |
東日本大震災により生じた福島第一原発事故により、多量の放射性物質が環境中に放出され、広範囲に深刻な影響をもたらしたが、福島県を皮切りに除染作業が本格的に始まりつつある。道路や建築物に対しては、高圧水洗浄、研磨・研削、ショットブラスト等の方法で除染が実施されているが、除染作業の進行に伴って課題も明らかになってきており、これらを解決する新たな技術が必要とされている。人を取り巻く環境の測定評価や環境改善機器開発を主要事業としてきた申請者は、事業活動の中核である環境条件を自在に制御できる精密機器製作・調整室が使用不能等の大被害を受けたが、産学共同の開発チームを組織して、循環回収型除染機の研究開発に着手した。これまでに試作2号機までの湿式除染機を開発し、福島県除染技術実証事業等において福島県内の建築物・道路で本除染機の除染効果の検証が成され、本除染技術は湿式除染機として製品化直前の段階に至っている。 高圧水洗浄時に生じた汚染水を回収し、フィルターにより浄化して洗浄水として再利用する循環回収型の湿式除染機は、作業時に発生する大量の汚染水処理、汚染水飛散による周辺環境汚染や作業者の被ばく等の問題を解決できる。実際に、多段フィルターの採用により、廃棄物の減容化に繋がる効果的な汚染水浄化が可能なことが確認されている。本開発では、除染機の洗浄ヘッドについて、凹凸面への追従性を高め、アスファルト面・隙間等に対応するための回転ブラシ機構を採用し、作業面の放射線量検知による効率的な運転制御を実現する。併せて、湿式除染が困難な箇所への適用を図る乾式の除染機を新たに開発する。最終的には、湿・乾両方式が対象面の性状により適宜選択できる、ハイブリッド型除染機を完成させる。 道路や建築物を、短時間・低コストで、効果的に除染可能な除染機が実現できれば、被害地域における除染活動に広く用いられることが期待され、除染活動の促進に直結し、その効果として、被災地の生活環境の安全性確保、生活基盤の拡充、被災民の帰宅、社会生活や経済活動の再開に貢献すると期待される。 |