復興支援特定研究-05
研 究 題 目 |
農業車両用モバイル放射線モニタリングシステム |
所属機関・役職 |
会津大学コンピュータ理工学部・准教授 |
代 表 研 究 者 |
荊 雷 |
【研究目的】 |
平成23年の東日本大震災と福島原子力発電所事故から、すでに四年が経過したが、福島県を中心とした被災地の農産物は依然として風評被害の影響を残している。放射線自体が目に見えないこと、更に、個別農産物が育つ境情報の詳細については生産者から消費者への提供が難しいことが、消費者の不安を払拭できない大きな原因になっていると考えられる。 本研究の目的は農地中の放射線量を消費者から見えるような方法を提案することである。福島県を中心とした農産物の風評被害を軽減するために、農地の線量のモニタリングセンサーネットワークシステムを研究開発した。 |
【研究方法】 |
まずは農家の方が簡単に扱うことができ、トラクターや軽自動車など農業用車両に搭載可能な、GPS等の記録装置を搭載した小型・安価な簡易モバイル線量計を開発する。PAD上に線量データをモバイルネットワーク経由して、どこでもアップロードできるアプリを開発する。更に、線量データ保存と管理するためのデータベースとサーバーを設計実装し、すべての線量データを統一的に管理できるようにする。最後に、線量データをGoogleマップ上に直接表示するウェブサイトを提供し、農地線量データの計測と可視化を実現する。 |
【研究成果】 |
小型高感度なセンサーノット: ヤグチ電子工業製のPINフォトダイオード方式の組込向け放射線測定装置「ポケットガイガー」をベースに、高感度なシンチレーション方式線量センサーを利用して、農業用車両が移動中に、細かく線量を計測できるセンサーノットを試作した。 ネットワークデータ管理と可視化表示システム: 複数センサーノットのデータをMySQLデータベースに保存管理するシステム開発した。そして、地図上線量表示用端末側アプリも開発した。 フィールド実験: システムの評価するために、春と秋、二回のフィールド実験を行った。 国際学会と国内展示会により、社会発信: 研究成果の一部分を国際会議Sensors2014で発表し、復興庁 「新しい東北」官民連携推進協議会 (平成26年度第2回)ブース出展, 仙台マイクロナノ国際フォーラム2014, SEMICON JAPAN 2014などの国内展示会に出展された。 情報発信用ホームページとオーペンソース管理用サーバー: 民衆に発信するためのプロジェクトウェブサイト、及びプロジェクト研究開発成果を公開するためのサーバーを立ち上げた。 |
【まとめ】 |
一年間で、農用トラクター上に搭載できる線量モニタリングシステムを開発した。そして、福島県白河市で、二回のフィールド実験を行うことにより、システムの利用可能性が検証された。これから、システムの機能を更に検証し、オーペンプラットフォームとして、公開する。 |